深蒸し茶の特徴

近年では急須のない家庭も増えています。

古いデータですが、2013年2月の女性セブンの記事によれば、高校生へのアンケートで『急須でお茶を淹れる』のは2割程度、8割が急須を使えない可能性があるそうです。

専門店で自分のいつも飲んでいる決まったお茶を買ってきて、きちんと湯冷ましをして淹れる家庭は、その2割のうちのいかばかりでしょう?

ポットから急須へ、そのままお湯を注いで淹れる家庭も多いことでしょう。

家庭のお茶の入れ方の文化が変わってきているので、お勧めしたいのが深蒸し茶です。

深蒸し茶というのは、お茶の葉を摘み取った後、蒸して揉んで製茶する際に蒸し時間を長くして作ったお茶です。

当社は製茶された『荒茶』というお茶の原料に火入れをして製品を作って卸す会社なので製茶には詳しくありませんが、普通煎茶の蒸し時間が30~40秒に対して、深蒸し茶の蒸し時間60秒内外(『茶大百科(農文協)』)ということになっています。

最近の一般消費者にはお湯の色がきれいな緑色になることや苦渋みが少なくて飲みやすいことが好まれることが多いようですが、深蒸し茶の特徴はまさにお湯の色が緑色になることや渋みが少ないことです。

熱いお湯で淹れると渋みが出やすい蒸し時間の短い浅蒸し茶に対して、深蒸し茶はお湯の温度の影響を受けにくくなっています。

深蒸し茶の外見上の特徴は蒸し時間が長いのでお茶の葉っぱが粉っぽくなっていることです。

 

ところが、お茶の葉は蒸し時間が長くなると新鮮な明るい緑色がなくなっていくので、お茶の葉の色をよく仕上げるために蒸し機の蒸気を逃がしてあまり温度を上げずに、蒸し機の胴回転で葉っぱを細かくしたものも時々出回っています。

擦り蒸しなどと呼ばれて、見た目は色がよく、葉っぱが細かくて深蒸し風の仕上がりなのですが、実際には蒸しが通っていないので、熱いお湯で淹れると渋みが強くなります。

お茶はし好品なので、お客さんの好みが「私は渋いお茶が好きだ」というのなら擦り蒸しでも構わないのですが、一般的には深蒸し茶では渋みは欠点です。

「渋みが少なくて飲みやすいのが深蒸し茶の特徴です」と紹介して、実際にお客さんが買って飲んだお茶が渋いものでは、お客さんが期待していたものとは違うものになってしまうことでしょう。

お茶がし好品であればこそ、お客さんの好みに合ったお茶を選んでいtだくために、スーパーマーケットではなく専門店へご相談いただきたいと思います。

なお、福島商店は私の父の代から緑茶専門店への卸売りが主なので浅蒸し茶も深蒸し茶も扱っておりますが、お湯に直接入れて使用することの多いティーパックなどを中心に、直販商品の多くは深蒸し茶を使用しています。

お茶の相談先でお困りの際には、是非このウェブサイトのお問い合わせフォームや電話、ファックスなどで相談をお待ちしております。