当社の静岡市内の取引先で、東日本大震災に伴う福島第一原発事故の東京電力の補償についていろいろと意見を持っている方がいらっしゃいまして、東洋経済新報社さんの記者の方に事故以降のお茶の産業への影響について静岡のお茶屋さんの話を聞いてもらいたいようで、今日は記者さんと一緒に市内のお茶屋さんを回って当社にも取材にきてくれました。
質問には事故以降お茶の販売は極端に少なくなっていることについてお答えしましたが、僕は原発事故は一つのきっかけに過ぎなかったと思います。
時代は変わります。
今の時代に急須でお茶を飲む人が少ないのは原発事故のせいではありません。
インターネットを活用したり、若い世代の人に興味を持ってもらえるようにツイッターやFacebookなどのSNSを活用して情報発信したり、急須を使わずに手軽に飲めるティーパックなど販売形態を変えた商品に力を入れたり、お客さんに欲しがってもらえるようなこだわりのあるおいしい商品でブランドを確立するとか、そういう時代に合わせた販売努力が苦手なまま十分に克服されていないのが一番の問題だと思います。
お茶にはビタミンなどの栄養も含まれますし、抗がんや抗う蝕(虫歯予防)、殺菌作用など人間の体に良い健康機能がたくさんあることが研究されています。
インターネットが発達して、外国人とも簡単にチャット友達になれる時代ですから、外国の人に私たちの生まれた国の文化について知ってもらおうと思ったら、緑茶は日本重要な文化の一部です。
若い人がお茶を飲まないのがお茶離れの原因ではなくて、新しい時代の価値観に合ったお茶の商品価値を提案できないことがお茶離れの原因だと思います。
インバウンドビジネスで、日本の田舎に民泊して、特別でなくてもいい、お味噌汁などの日本の食事を提供すると喜ばれると聞きます。
フィギュアスケートのザギトワさんが日本好きで秋田犬を贈られてマサルという名前を付けて大切にしているとか、インスタグラムなどに日本食のご飯の写真を投稿して「箸も使える」とか、日本の文化を好む外国人にはそういうところが興味を持たれるわけですから、外国人のお友達がいるのなら、日本のお茶を紹介したらきっと喜んでもらえるんじゃないかと思います。
異文化に触れる中で、もう一度自分の生まれ育った日本の文化を再発見してみませんか?
なお、福島第一原発の事故による放射能の問題でお話をすれば、お茶の抽出液に含まれる放射性物質は基準値以下でほとんどが計測不能なくらい少なく、また、2000年11月11日の静岡新聞の記事で静岡大学の先生がお茶に含まれるカテキン成分には放射線による健康被害を抑える効果が期待できることを紹介しています。
原発事故が心配な人ほど、ぜひともお茶を飲んでほしいです。